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第二十話 気づかれぬ想い②

last update Terakhir Diperbarui: 2025-07-12 17:31:24

 沈黙の中、雛は神威のことを考えていた。

 前にも思ったが、本当に神威は私のことを女だとわかっていないのだろうか。

 さっきは、裸を見なかった?

 いつも雛が裸の時、視線を逸らしているのは雛が女性だと気づいているからではないのか?

 今回のことだって、男を心配して待っていたりするだろうか。

 今までの神威の言動を考えると、彼は雛のことを女だと気づいている可能性が高い。

 しかし、そうすると何で黙っていてくれるのだろう。

 問い詰めたり責めたり誰かに言ったり、なぜしない?

 それは彼がすごく優しい人だから?

 雛はそっと神威を盗み見る。

 綺麗な顔――

 その横顔に、雛は見惚れてしまった。

「ん? ……どうした?」

 神威が極上の微笑みを雛に向けてくる。

 雛は顔が赤くなるのを隠すため、急いで顔を背けた。

 あ、危ない。あの顔は反則だ。

「いえ、なんでも」

「そう」

 雛の心臓が早い速度で脈を打つ。

 私、もしかして、もしかしなくても、神威さんのこと――。

 雛はそのときようやく自分の気持ちに気づいた。

 雛の顔が茹でダコのように真っ赤に染まっていく。

 どうしよう、そんなことに気づいても、私は今、男なのに。

 戦いに集中しないといけない。

 恋なんかに現を抜かしていてはいけない。

 雛は自分を戒めた。

 ふと、雛の脳裏に、神威の婚約者である舞の顔が浮かんだ。

 そう、そうだよ。

 神威さんには、舞さんっていう立派な婚約者がいるんだ。

 私がいくら好きになったって……。

 それに今はこんな格好だし。

 雛は自分の姿を改めて見つめる。

 こんな男の格好して、刀を持って人を殺める女なんて、誰が好きになる?

 あの舞って人は女性らしく、清楚でおしとやかで――とっても女の子らしくて可愛かった。

 はじめから結果は見えている。

 雛が急に下を向き、落ち込

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